その美術室の場所は、市川さんに教えてもらった。本校舎から離れた、旧校舎の隅だった。


シーンとしててなんや不気味。そんな旧校舎の廊下を通り、美術室にたどり着いたとき、なかで紫月がすでに待っていた。


しかも戸を開けたとたん、口があんぐりとして塞がらなくなった。


なかは改装され、ソファに冷蔵庫に大きな薄型テレビ、そしてダブルベッドまで置いてある。まるでマンションの一室みたいになってたから。


「な、なななにここ!?!?美術室ちゃうやん!まさかここに住んでんの!?」


「んなわけねーだろ?ただの仮眠部屋」


「か、仮眠部屋て、さっき教室で寝てたやん!」


よく見たら、家具もなんや高級そうやし、今からでも生活できそうなちゃんとした部屋やん!どーいう学校やねん!?


「なぁ、あんた旦那さん(朔夜)やろ?学校では偽名使こうてんの?」


「んなとこにつっ立ってねーで、こっち座れよ」


そう言われて躊躇ったけど、彼が座るカウチの反対側に、なるべく離れて腰をおろした。


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