「イ、イケメン??」


彼女があまりに力をこめて言うからポカンとしてしまった。


「そうそう!ちょっと変人で取っつきにくいんだけど、芸能界事務所からもスカウトされちゃうくらいのイケメン!まぁこのクラスの王子的な~?」


「ふ、ふーん…」


紫月さんて、男子なんや。


なんかホンマに漫画通りな男っておるんやな。


けど、私にとってイケメンて言葉は、この世でたった一人の男を指す言葉や。


どんな男が現れたって、尊兄ちゃんの足元にも及ばん。


それにしても、紫月さんて人の話になったとたん、市川さんが急にキラキラし出した気がするわぁ。


……好きなんやろか?


ええなぁ、恋バナってやつを友だちとするの憧れやったなぁ…


私は尊兄ちゃんを思い出していた。
するとたちまち心はここやなく、遠いところへ飛んでいった。


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