「そ、それじゃ屋敷の人たちは……さっきの人が偽物やって知っててあんな茶番をやってたん!?」


「それは違げ。俺の正体知ってんのは、組でも屋敷でもほんの一部の奴だけ」


「………"チゲ"??」


「"違う"っつー意味。つーか標準語知らねーのか?」


「……なんやて!?標準語喋れんのそんなに偉いん!?」


鼻で笑われた気がしてカチンと来た。


いやそれより、この朔夜って男は黙ってると天使やのに、話すとどうもイメージが崩れる。


これが関東風てやつなんやろか?こっちの男はみんなこうなんやろか?


「聞いてたとーり気の強ぇ女だな。まぁハイハイ言いなりになるつまんねー女よりマシだけど?」


ふと笑みを浮かべた朔夜の顔が、一瞬でゾッとするほど冷たくなった。


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