◇
その時は突然来た。
私がこの部屋にはいって、十分くらいしたやろか。寝室の戸が、突然ピシャッと開いたんや。
朔夜や!朔夜が来たんや!
ビクッとして思わず正座して頭をさげてしまった。
「……うぅ…っ」
ついに、ついに、この時が来た。
嫌や!!こっちこんといてーっ!!
震えながらいくら念じても、そんなの通じるはずなく、畳をすべる足音はゆっくり近寄ってきた。
嫌っっ!あっち行ってぇや!!
しかし、とうとう朔夜は私の目の前に立った。
畳に伏せた視界に、寝巻きの裾からのぞく白夜の足首が入った。骨ばった足やった。
そして同時にシトラスに似た、爽やかな香りが鼻孔をついた。
「…………!?」
すると、
「やっと夫婦水入らずか。よく来たな小夜子」
「………!?」
それはこの屋敷に来て、朔夜が初めて私にかけた言葉
……の筈やった。
でも、私はその声に、とても強い違和感を感じた。
.
その時は突然来た。
私がこの部屋にはいって、十分くらいしたやろか。寝室の戸が、突然ピシャッと開いたんや。
朔夜や!朔夜が来たんや!
ビクッとして思わず正座して頭をさげてしまった。
「……うぅ…っ」
ついに、ついに、この時が来た。
嫌や!!こっちこんといてーっ!!
震えながらいくら念じても、そんなの通じるはずなく、畳をすべる足音はゆっくり近寄ってきた。
嫌っっ!あっち行ってぇや!!
しかし、とうとう朔夜は私の目の前に立った。
畳に伏せた視界に、寝巻きの裾からのぞく白夜の足首が入った。骨ばった足やった。
そして同時にシトラスに似た、爽やかな香りが鼻孔をついた。
「…………!?」
すると、
「やっと夫婦水入らずか。よく来たな小夜子」
「………!?」
それはこの屋敷に来て、朔夜が初めて私にかけた言葉
……の筈やった。
でも、私はその声に、とても強い違和感を感じた。
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