まるで熊のような大男。


西園寺朔夜と初めて顔を合わせたのは、神社で行われた結婚式のとき。


遠くからよくきたなぁとか、これから宜しくなぁ……とかの労いの言葉や挨拶のひとつもなかった。


一言も会話せんと事務的に結婚式が始まった。


さすがに呆気にとられたわ。


そりゃあ政略結婚やから、はなから真っ当な夫婦になるなんて、期待もしてへんけど……。


目も合わさんし、笑顔ひとつない。


それに熊みたいに毛むくじゃらなのに、豚みたいな目をしとって、なんか不気味で傍におるとゾッとする。


こんな男の妻にならなあかんなんて…。


今夜、これから待ち受けてることを考えると舌を噛んでしまいたくる。


お兄ちゃん……私がこんな男のモノになってもええのッ!?


今からでもいいから連れて逃げてやッ!?


.