何でここにおるのかより、この切迫した空気で、なんでそんな普通なの?と訊ききたい。


ほんの一瞬だけ、朔夜もグルなんやろかと思った程や。


けど私が抱きついていた乃愛さんが、「保険をかけて正解でした」と小さく呟いた。


「詰めが甘いのはどっちかしら」


そして形勢逆転したと言わんばかりの顔に。その言葉通り、鬼塚さんは表情を強張らせ、朔夜の登場に固まっている。


「もしかして、あんたが朔夜を…?」


「そうです、お二人にこの男の正体をじかに見てほしかったからお呼びしました」


私の問いかけに乃愛さんが答えた後、シンッと重い沈黙が流れた。



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