よく研がれた刃はライトを反射して妖しく光った。


しかし、よく見ると黒い水のような汚れが所々こびりついている。


「……!?」


なにかと思って目を凝らすと、すぐにそれが血痕やと気づいた。


「先ほど、小夜子様が襲われたときに」


乃愛さんのこの一言で意味が分かった。さっき暗闇で首を絞められた時、突然相手が倒れたんや。


それで助かったんやけど、あんときは何が起きたのか分からなかった。


乃愛さんがあの男を刺してうちを助けてくれたん!?


ほんまに尊兄ちゃんの……!?



「あんた、人を刺したん?あの男はどうなったの…!?」


「ご心配なく。刺したのは太股です。命に別状はないかと」


青ざめる私と対称的に、乃愛さんは覚悟を決めた顔で、その小刀を鬼塚さんへ向けた。



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