「車や屋敷中に盗聴機が仕掛けられていたのです。先日の会話を聞いて、今夜のことを思い付いたのでしょう」


「……!?」


「その女は朔夜様の寵愛を一身に受けてるあなたを憎み、虎視眈々と機会を狙っていた」


それを聞いて心臓が壊れるくらいドクドク騒ぎだした。一度は乃愛さんを信じかけたけど、その気持ちが揺れる。


どっちを信じていいのか分からん。


「小夜子、冷静にお考えください。私にあなたを殺す理由がありますか?」


「………ッ!」


確かに鬼塚さんの言うとおりや。
それに昨日まで敵意むき出しだった乃愛さんよりも、鬼塚さんの方が信用できる。信じたい……。


すると私の気持ちを察した乃愛さんが振り返った。


「この男こそデタラメを言っています。今夜、屋敷のメイドを通して、あたかも

"朔夜様の伝言であるかのように装って"

あなたを呼び出し、傘下の者たちを使い殺そうとした。
あなたにも御劔組を継ぐ資格があると知ってしまったから」


乃愛さんは前に向き直ると、鬼塚さんを睨みつけた。


「この男にとって、朔夜様こそ絶対なのです。その立場を脅かしかねないものは、誰であれ抹殺せずにはいられない程に」


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