「尊兄ちゃんがそんなことするわけないやろ…!?」


乃愛さんの話を信じたわけやないけど、尊兄ちゃんをそんな風に言ってほしくない。そんな人やない。


だからつい声を荒げてしまった。


「小夜子様はなにも分かってらっしゃらないのですね。尊様はあなたの為なら例え何百人でも罪のない者を殺します」


「………はあッ!?」


しっ!と、声のトーンを落とすように促しながらも、キッパリとそう言われた。


何も言い返せない代わり、カアッと頬に熱が走る。


「な、なにを……アホな……!?
そ、それはともかくやな!ほな……誰がうちを狙てる言うん?お方様たち?」


「私もだいぶ彼女たちを警戒してましたが、あなたに危害を加えることは何一つしていません」


「…え?」


「今夜のことも、火事も、彼女たちは関与してません」


「そんな…!?うちはてっきりあの人たちやと…!?そうや、あんたがさっき言うた"あの男"って誰のこと!?なんでうち狙われるん!?」


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