そっと薄目をあけると、お兄ちゃんの身体の彫り物が目に入った。


私はこういう家で育ってるから、彫り物 は何度も見たことはある。


でもお兄ちゃんの刺青は、今まで見たことないほど綺麗やと思った。


それだけじゃなく、鍛えあげられた身体も誰より美しい。


ああ、ホンマに尊お兄ちゃんほどの人なんかいないわ。


また目を閉じた。




「小夜子?さっきから何をぎゆっと目ぇ 瞑っとんの?」


「な、何をて!?…………お兄ちゃんは平気 なんっ!?うちとお風呂入って!?」


「当たり前やろ。兄妹やで?」


あっけらかんと言われて少し傷ついた。


そんなぁ。こっちは心臓壊れそうになっ てんのに、少しくらいドキドキしてくれ たって…!?


一応、年ごろやのに、つくづく妹としか見られてないんやろか…!?


この状況は嬉しいのに、平然としてるお 兄ちゃんの態度がショックで…


でも、どさくさに紛れて抱きついてい た。


すると身体から、お兄ちゃんの鼓動が伝わってきた。


もうやぶれかぶれや!このチャンスに『好きや』って、言ってしまおうか!?


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