「え?………ええええええ!?」


ビックリした。シートから転げ落ちかけた。そして驚くほど心臓が跳ね上がったんが分かる。


「え?何で?うちを助けたからそう思うん?」


「それもありますが……。弱りましたね。口が滑りました。朔夜様にどやされる。聞かなかったことにしてもらえませんか?」


めずらしく歯切れが悪い鬼塚さん。でもそんなん言われたら余計ドキドキする。私は身を乗りだした。


「気になるやん!鬼塚さんから聞いたて言わんから!」


「参りましたね。……では朔夜様に内密で」


「うん!」


「お二人の縁談は亡くなった先代が決めたことです。当初、朔夜様は猛反発されてました」


「うん…まぁ、そうやろな…」


「しかし、ある時を境に変わったんです。急に反発なさらなくなりました。それどころか、口には出されませんが婚姻の日を心待にされてるようにも、私には見えました」


「……な、何で?」


「これは憶測ですが、先代の親父の葬式に参列された小夜子様を遠くから見て、一目惚れされたのでは?」



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