「……!」


口元に笑みを見せたこの女の子は、"お方様"と呼ばれる朔夜の愛人のひとり。


名前は……乃愛さんていったかな?


お方様達のなかで、一番若い乃愛さんもここの学校に通ってる。クラスは違うけど、たまにこうやってすれ違う。


「あの時は心配しました。でもすっかりお元気になられて。さすがお丈夫ですのね!本当に嬉しいですわ」


皮肉たっぷりの言い回しに、「おかげさんで!」と精一杯の嫌みで返した。


そうや、すっかり忘れてたけど、私が女子から孤立するような変な噂流したのはこの人やないの?


さらに言えば風呂場に火ぃ着けたんも、お方様達やないかと私は疑ってる。


「どうしたんです?怖い顔して?朔夜様にいよいよ愛想でもつかされたんですか?」


「な!」


「うふふ」と見下すように笑われて、カッとなりかけた時、「小夜子!」っと教室から出てきた市川さんが腕をからめてきた。


「もー、授業サボってどこいってたのー!?帰ったかと思ったー!!」


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