子供の頃から、家族ってもんがなんか知らず、他人に囲まれ育った。家を出れば極道の子と異色の目でみられ、自分の生きたい道も生きれへん。


誰にも心開けんのやろ。寂しいんやろ。言わなくても私には分かる……伝わるんや、朔夜。


「なに泣いてんの?」


「……!」


鼻がツーンとしたかと思ったら、涙が自然と溢れていた。朔夜の顔が滲んで見えなくなる。


「泣かれてもスゲ迷惑。ブスが泣いても悲惨なだけだから。鼻水、拭け」


そっけない言葉と裏腹に、なぜか声は優しくて、心のタガが外れてしまった。


「わざとうちに冷たくしてない!?わざとそっけない態度とってるやろ!?なんで!?うちがいなくなればいいと思ってんの!?」


「……ンダそれ」


「なんでそうなん!?なんで命かけて助けたり、急に冷たくしたり、帰れとか言うん!?…クラスメイトにも電話してうちを……!なんで優しかったり冷たかったりすんの!?うちは…うちは…!」


「小夜子」


するとそのとき旦那さんの腕が伸びてきて頭を掴まえられた。そして同時に唇をふさがれた。


「………!」


この場所で、二度目のキスだ。


抱き締められたままで、ソファに倒れた。


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