「そんなん、気になるやーん!?誰!?誰!?」


「そんなことより、これからの話や」


兄ちゃんは長い足をもてあますように組み替えると、私の顔をのぞき込んだ。


うわあっ。その仔犬みたいな目は反則や!!


「なんや顔赤いけど熱でもあるんか?」


「ちゃうよ!うちのことはほっといて!!………いや!ほっといてちゅーんはそういう意味やなく!」


「何やねん、落ち着き」


「落ち着いてるよ!と、とにかく、今は……朔夜の意識が戻るまでは何も考えられへん……」


「そうか。……そうやなぁ」


兄ちゃんは目を臥せると柔らかそうな髪をかきあげた。


「お前やっぱり惚れたんやな、"あの男"に」



.