◇
しばらくして鬼塚さんが出ていき、なんとかこの場は収まった。
でもいざ兄ちゃんと二人だけになると、何を話していいか分からん。
あんなに会いたくて会いたくて、毎晩夢に見た、尊兄ちゃんが目の前におるのに。
頭のなかで鬼塚さんの言葉がリピートされて消えない。
兄ちゃんは……最初からいずれ破談にする気やったの?組の利益のために……
御劔組から奪うだけのものを奪う口実が欲しかった?
夕べの火事……いっそうちが死んどった方が"大倭会としては"莫大な慰謝料を請求できた!
旦那さんがうちを助けて大火傷を負うことまで計算できたとは思えへんけど……
大倭会にしては、やっぱり朔夜は死んでくれた方が……
……!?うち何考えてんの!?
鬼塚さんの言うこと真に受けて、尊兄ちゃんを疑ってるの!?アホな!!そんなこと、万に一つもあり得へん――!!
サイテーや!!!!
「小夜子」
「………ッ!?」
.
しばらくして鬼塚さんが出ていき、なんとかこの場は収まった。
でもいざ兄ちゃんと二人だけになると、何を話していいか分からん。
あんなに会いたくて会いたくて、毎晩夢に見た、尊兄ちゃんが目の前におるのに。
頭のなかで鬼塚さんの言葉がリピートされて消えない。
兄ちゃんは……最初からいずれ破談にする気やったの?組の利益のために……
御劔組から奪うだけのものを奪う口実が欲しかった?
夕べの火事……いっそうちが死んどった方が"大倭会としては"莫大な慰謝料を請求できた!
旦那さんがうちを助けて大火傷を負うことまで計算できたとは思えへんけど……
大倭会にしては、やっぱり朔夜は死んでくれた方が……
……!?うち何考えてんの!?
鬼塚さんの言うこと真に受けて、尊兄ちゃんを疑ってるの!?アホな!!そんなこと、万に一つもあり得へん――!!
サイテーや!!!!
「小夜子」
「………ッ!?」
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