「しかしこうなるとますます放火犯の目的が不可解だな。一体なんの目的で小夜子様を狙ったのか」


鬼塚さんの言葉で、一気に病室の空気が張りつめる。


兄ちゃんは同等の殺気を纏いながら鬼塚さんを真っ直ぐに睨みかえした。


「つまり。御劔組に責任追及するために、俺が火ィ着けたって言いたいんか?俺が小夜子と、あわよくば西園寺朔夜を焼き殺そうとしたって……そう言いたいんか?」


怒りを圧し殺した声だ。兄ちゃんの怒りで空気まで震えそうやった。


わずかな火花でも爆発してしまいそうなほど病室は二人の殺気で満ちた。


「兄ちゃん……兄ちゃん……!!やめて……喧嘩せんでよ……!!」


「鬼塚?それは御劔組舎弟頭として言うとんのか?」


私の制止に答えない兄ちゃん。この空気はアカン。鬼塚さんの返答しだいでは大変なことになる。



朔夜がこんなときに御劔組と大倭会がぶつかったらアカンやろ。戦争してる場合ちゃうやろ!



「やめてよ兄ちゃん!兄ちゃんが火ぃ着けるわけないわ!そんなん分かってる!鬼塚さんもやめて!うちは……朔夜が回復するまでは帰らへんから大丈夫や!……だから、兄ちゃんと二人だけで話さして……」


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