物心がつく前から、私はずっとお兄ちゃ んが好きだった。


きっとお兄ちゃんもそれに気づいてると 思うんやけど。


でも腹違いとはいえ妹やから。この気持ちをはっきり伝える勇気なんかない。



「今日は小夜子の誕生日やな。プレゼン トは何がええ?」


お兄ちゃん、私が今日、お嫁に行くって 知ってるくせに。


プレゼントなんかいらんから。ひとこと『この結婚は破談や』と言ってや。


お兄ちゃんになら、それくらいの権力があることくらい知ってるよ。



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