つい前のめりになると、「お前食い付くなー」と、少し鬱陶しい顔をされた。


「俺らが生まれてすぐ、おふくろが妹だけを連れて出てった」


「なんで!?」


「まあ親父が親父だから、逃げ出したくなる気持ちも分かるけどよ。それにおふくろはすぐに事故で死んだらしい」


「…………!!」


「つまり俺と妹は、互いが唯一の肉親てことになる」


まるで他人事のように淡々と語る朔夜。想像もしてなかった話に、私は言葉が出なかった。


お母さんに連れてってもらえなかった事を、朔夜はどう思ってるんだろ?なんの目的で妹を探してるんだろ?


こんな広い屋敷に住んでるのに、広大な権力を持ってるのに、気を許せる人がいなくて寂しいのかな?


そんなことを考えてると、朔夜は障子を放ち、満月を見上げながら言った。


「でもお前の兄貴によると、その妹も母親の死後すぐに病気で死んだんだと。まるで後を追うように。
双子のせいか低体重児で生まれつき弱かったらしい」


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