夏が終わり秋を向かえた。
僕は塾で一緒のAさんに数学を教えていた。
僕は数学が得意だ。そのため、よく質問される。
「ここは、この関数を平行移動して……」
「あー、なるほどね。」
「ほんとに分かったの??」
「分かった!ありがとう!」

教え終わり、いつものようにAさんと雑談をしていた。すると突然後ろから声が聞こえた。
「やっほ~!A何してるの??」
また、あの時の声だ。しかし、すこし違った。僕は振り返る。そこにはあの少女がいた。
「おぉー。Sちゃんどうしたの?」
どうやら、少女とAさんは知り合いのようだだ。
(へぇ~。Sさんって言うんだ。)
初めて僕は、少女の名前を知った。
そして、Sさんは僕を見て、
「あれ?ギター部の少年!!」
僕はすかさず一礼をした。
「へぇ~。Aと知り合いだったんだね。」
初めて会話をしたときとは全然違う。だが、きらいではなかった。
「そうだよ!いつも数学教えてもらってるの!!」
「そうなの!!じゃあ私も教えてもらおうかな~?」
「Sちゃんはできるから良いでしょ~。理数科だし。」
「り、理数科!?」
思わず僕は声が出てしまった。
「そうだよ。でも、分かんないところとかあるから機会が合ったら聞くね!よろしく!!」
「が、がんばります。」
少し頼りない声で答えた。
これがSさんとの本当の出会いだった。

それからSさんとよく話すようになった。
勉強のこと、音楽のこと、話題が尽きなかった。楽しい日々。中学校の時とは大違い。
気づけば僕らは友達になっていた。