ドルシネア姫




そう思っていると、


「やっと見つけた。」


え…


「ご、後三条君…」


「結局学校までの道のり分かんなかったんだろ?
アホとしか言いようがないだろ。」


「ごめんなさい…。」


「補導される前に学校行くぞ。」


私は頷いて後三条君の後ろを歩いた。


信号が赤になり歩みを止めると後三条君は呟いた。


「俺は美波を好きだから、お前を好きにならない。
この意味分かるよな。俺は美波のバレエが好きだ。
何もないお前なんか目にもない。」


分かってるよ。


「分かってるよ。大丈夫。美波ちゃんを悲しませるような事はやったり言ったりしないから。
安心して。」


私は後三条君に微笑んだ。