ドルシネア姫




「それにしても、花恋ちゃんがこんなに早く嫁に来てくれるとは思わなかった。」


私も本当は後三条君の嫁になるのは嫌だ。


私は陽とこれからもずっと居たかったし、


あわよくば陽と私の家のバレエ教室を継ぎたかった。


でも、あの時お父さんに言われて決心したんだ。


「目の前のチャンスを掴まずに逃げるのはもうやめなさい。怖がるのはもうやめなさい。バレエ界はそんな甘っちょろいもんじゃ無い。私は花恋に活躍してほしい。それが私と真澄の願いだ。」


お父さんとお母さんの夢…


初めて聞いた。


私の活躍…


チャンス…


無力な私には今は後三条君の家に頼るしか無い。