ドルシネア姫




部屋は、私が今まで使っていた部屋よりも倍以上広く、


スタジオ付きだ。


トゥシューズもバレエシューズもレオタードも


全部揃っているし、


クローゼットを開けても、


「うわぁぁぁーっ」 


私の好みの洋服と靴が並べてあった。



「お気に召したかな?お姫様。」


「わっ、殿下っ!」


私はお辞儀をした。


「花恋ちゃん、もう私の事は殿下と呼ぶのはやめなさい。お父さんって呼んでくれると嬉しい。」


柔らかいその笑顔に不安は少し消された。


「こんなに素敵なお部屋…私には勿体無いくらいです。」


そう言うと殿下…いや、お父様は笑った。