ドルシネア姫

❁花恋Side


「花恋様。私これから花恋様の身の回りのお手伝いをさせていただきます由乃(よしの)と申します。」


と私よりも10歳くらい年上の女性が丁寧に私に挨拶をした。


「宜しくお願いします。」


私も丁寧にお辞儀をすると、由乃さんは微笑み、


「宮殿は広くて寂しいところです。殿下の奥方様もたいそう寂しがられていました。
畏れながら皇太子様は少し冷たいお方なので花恋様が寂しい思いをされないよう私ども全力を尽くすつもりです。」


「ありがとうございます。」


少し心が安らいだ。


「こちらがこれから花恋様が使う部屋になっております。」


と、由乃がドアを開けてくれ、そのまま私は入った。