やはりいつもより弱っているようだ。
頭の一つも小突かれるかと思ったが、悪魔は手招きをして玄関に私を招き入れた。
少し物足りなさを感じるのは、やっぱり私がドМだからなのだろうか。いや、ドМではないのだけれども。
「か、買ってきましたよ。火にかけるタイプの鍋焼きうどんと、風邪薬。あと栄養ドリンクも何本か」
玄関先で恐る恐る品物を差し出して、悪魔に手渡す。
コンビニ袋の中には、アルミ鍋に入れられた出来合いのうどんと栄養ドリンクが詰め込まれていて、もう片方に風邪薬が入れらている。
中身を確認すると、悪魔は肩を落として盛大に溜め息を吐いた。
「お前さぁ、手作りしてあげようとかそういう女子力は無い訳?」
言われて、あ、と口に出る。
そうか。普通ならば「何か手作りして看病してあげなきゃっ!きゃるん」みたいな事を思うのか。
コンビニ一択でその考えは正直無かった。
「いやぁ……。あ! ほら、こういうものの方が手っ取り早いじゃないですか! すぐ出来ますし!」
「そんなんだから三十路目前で男の一人も出来ないんだぞ、お前」
「なっ……!」


