桃は、この恐怖を味わったんだ。


私達の我が儘を聞いて、自らを犠牲にしたんだ。


……………。



美咲の細い足が、小刻みに震えているのがわかる。


それを見て、華菜は眉を寄せた。



「……私…代わろうか…?」


心配そうに、華菜は後ろから声をかけた。


美咲は後ろにいる華菜を見ると、無理矢理笑った。



「……この怖さを…桃は私達の為に自らを犠牲にしたんだよね……」


華菜はクッと口元をさげた。


「………美咲……」



「も……後悔…したくないから……!!」





美咲はそう言うと、部屋の中に入って行った。