「川里さん!!おはよう!!」


小さな肩を尚は後ろからポン!と叩いた。


その瞬間、ビクッと小さな体が震えた。


そして、恐る恐る尚を見た。




「………?」



川里ネロの独特の、真っ黒の瞳に、尚が映し出される。



「今日は早いんだな!!びっくりしたよ!!」



尚がニパッと笑った。


川里ネロは尚をじーっと見た後、口頭をクッと上げた。



「おはよぅ。高島くん…神崎くん…」



自分達の名前を呼ばれて、永遠達は逆にびっくりした。



「…名前…覚えてくれてんだ…」


ぽつりと吐き出された永遠の言葉を聞くと、ネロは口を開いた。


「……クラスメートの名前と…顔は全員覚えてるつもり…」



その言葉に、二人は目を丸くした。




意外、とはこのことだろうか?


クラスの行事もあまり参加せず、クラス自体興味がなさそうだったから、みんなの名前をわかってない…とか思ってたからだ。



「意外だとか、思ってるでしょ?」



ネロは首を少し曲げて、二人を見上げた。



図星だった二人は焦りを隠せずに、目だけ泳いでいた。



「…ぃや…ははは!!確かに…なんか意外だなー…」

「…うん、なんか…なんとなく…」


ぎこちない二人の表情を見た後、川里ネロはニコリと笑った。






「……私、嫌いじゃないんだよ。今のクラス。」






そう言うと、川里ネロはスキップしながら学校へ向かって行った。