「……はーぁ、休み前から憂鬱だよ。」


尚はわざとらしいため息を吐くと、僕を見てきた。



「………永遠さぁ、数学Bとってたよな?」


急な質問に、僕は戸惑いながらも返事をした。


「…あぁ…てか一緒じゃん」


「いよし!!!一緒に宿題やろ!!神崎永遠さん!!!」


「え!!」


自分の名前をフルネームで呼ばれ、僕は焦りながらも尚に言葉を返した。


「…ちょ…どういうこと!?」


「まぁ、永遠に教えてもらうつもりなんだけどな!!!」



僕…神崎永遠(かんざきとわ)は苦虫を噛んだような表情をし、露骨に嫌がった。

「むりむり!!!僕も数学B嫌いだし!!!」


そう言っても、尚は全然諦めてくれなかった。




「俺より頭いいくせに!!少なくとも数倍は頭いいくせによ…神様はマジ不公平だよ…」




尚お得意のネガティブオーラを全開にして、永遠をチラ見した。




その表情をされると、真剣に反応に困る為、永遠は目をぎゅっとつむり、



「……わ…わかったよ…」


…と呟くように言った。