「…千草…」

――――ぽつ…


意識が朦朧としている千草の頬に、温かい水がおちた。

「…ちぐ…さぁ…」


海谷は涙をボロボロ流し、千草を抱き寄せた。


「……将軍…」


「おまえは本当に立派な軍人だったな…本当に…心が綺麗な人間だ……だから…」



その瞬間、千草の腹部に衝撃が与えられた。



―――千草の耳に、微かに、銃声が響いた。



その瞬間、千草の目の前が真っ暗になり、その場に倒れた。



「……し…ぐ…ん……」




「…だから教えるけどさぁ……人生はね、裏切りがあってこそなんだよ?本当……甘かったね…君は…」



嘘の涙を拭うと、海谷はまた気持ち悪い笑顔を見せた。




「…………永遠…真理和……」


意識が朦朧とする中、 千草は何故か、永遠と真理和を思いだした。




「…さ…ょ…う……な…」



そこで、千草の意識が途切れた。




千草の変わり果てた姿を見ると、海谷は満足そうな笑みを見せた。




「…さょーなら、千草菖蒲くん」



海谷は最後に千草に喰らわせた小柄な銃を、ポーチになおすと、その場を離れた。