「……神崎永遠くん……」


千草が心配そうに永遠の傍に来た。


永遠は涙を無理矢理抑えると、千草に携帯を返した。



「…ありがとう…ございました…」


「………はい…」



千草はその携帯を、真理和に渡した。


だが真理和は携帯を眺めた後、すぐに千草に返した。


「?」


「…俺はいいです!!…ばぁちゃん、ビックリして腰ぬかすといけないし!」

「おばあさんしか…いないんですか?」


「…俺の家、両親いないから…ばぁちゃんとじぃちゃんしかいないんです…これ以上…心配させたくない……」


千草は真理和の頭を優しく撫でると、携帯を受け取った。



そして…



――――ガチャ…



永遠と真理和を、檻から出した。


「行きましょう…」


千草はそう言うと、檻から出て呆然と辺りを見ている永遠と真理和に帽子を深く被らせた。



永遠と真理和は、緊張で足が震えた。




見つかったらアウト。



永遠の頭の中では、その言葉しか浮かばなかった。



失敗するわけにはいかない。


僕達は絶対に生き延びてみせる…。



竜…

ネロ…

みんな…




絶対…脱出してみせるから……!!