『僕は夏恵を愛していたのか。』僕自身がこの事に持つ疑念を未だ晴らしていない。 僕は情けない事に男の質問に何一つ応えを出せていない。 男はそれでも声も荒げる事無く、慎重に言葉を選びながら話を続ける。 僕はこの雰囲気に耐える事が出来ず逃げ出したい衝動に駆られる。 だが逃げる訳にはいかない。 僕もこの男から真実を聞かなければならない。 『なつ・・ハルミさんには直接聞けないのですか?』 僕も声を荒げる事なく慎重に質問を返す。