どれ位の時間が経ったのか予想すら出来ないが、僕は不意に我に返り須藤の事を奥さんに伝える為に、一旦病院の外に出て携帯を使い自分の会社に電話をした。
受付の木村さんが出て僕がその旨伝えると、木村さんは『吉岡さんに言われた通りに須藤さんの会社には伝えてありますよ。』と言った。
僕は酷く慌てていたらしく、自分が既に須藤の事を会社に伝え、更に奥さんに伝える様に言っていた事を覚えていなかった。
僕は少し落ち着こうと病院の外にあった喫煙スペースで煙草を吸った。
そして煙草を吸い終わりスタンド式の灰皿で煙草をもみ消した時に初めて辺りが暗くなっている事に気が付いた。
処置室の前に戻ると処置室のドアが開いていて処置中のランプは消えていた。
慌てて僕は後片付けをしている看護師を見つけて須藤の事を聞くと『関係者の方ですか?』と聞いてきた。
僕が『はい』と答えると看護師は須藤がICUに入った事を僕に伝え、そして先生の元に案内してくれた。



