上を見上げる僕の顔に容赦無く雨が吹き付ける。
須藤も横殴りの雨に苦しむ様に時折雨の吹きつける方から顔を逸らしながら、慎重に足場を上った。
ビニールシートの激しいバサバサとした音がする度に僕は身が縮む思いに駆られる。
須藤は何とか天窓付近まで到達し、工事の人間と共に慎重にビニールシートを広げる。
ビニールシートは風に煽られ大きく膨らむ。
須藤達は何とかビニールシートの膨らみを押さえ慎重にビニールシートを固定させた。
須藤は何かを達成した様な顔でコチラに手を振り、ゆっくりと足場を下り始めた。
僕が須藤に手を降り返そうとした瞬間に外壁を覆うビニールシートが激しい風に煽られ大きく膨らんだ。
膨らんだシートは足場を大きく揺らし須藤はバランスを失い足場から転落した。
鈍い音が地面に響いた。
僕は慌てて須藤の元に駆け寄る。
須藤は仰向けに倒れていた。須藤の体の下から雨と混じりながら血が滲み出した。



