工事の男は新しく取り付けなおした屋根に付いた天窓の窓枠付近を指差し、雨漏りの原因と予想した。

須藤は捲し立てる様に『なんで漏れたんだ』と怒鳴り、工事の男は『施工途中に台風が来たもので』と到底須藤を納得させる事の出来ない言い訳を放った。

須藤は予想通り更に憤慨し『早くなんとかしろ』と怒鳴り散らした。

男はワゴン車で待機している仲間の元に戻り何か相談してコチラに戻り『サッシ業者がまだ来てないもので』と申し訳無さそうに言った。


『はぁ?!何言ってんねん!!・・・取り敢えず、あの窓塞がなアカンやろが!!』


そう言って須藤は工事の人間が乗ってきたワゴン車に向かい、中を物色して青いビニールシートを取り出し、僕や工事の男が止めるのも聞かずに建物の外壁を取り囲む足場をビニールシートを持って上り始めた。

僕は工事の男に目配せをした。

工事の男は仕方ないといった感じの顔をして須藤を追って足場を上り始めた。