僕は明子に『答え』を出す事は無かった。

 そして夏恵もまた僕の疑念に『答え』を出してくれなかった。

 
 夏恵はナツエ

果たして僕の中で夏恵はナツエ以外の何者でもないのだろうか?

僕はそんな疑念も晴らせぬまま明子を失った。

 求める答えが返ってこない事

それが答え以外の何物でも無いのだと思うと、僕は明子の為か自分の為か理解出来ないまま涙を零した。

 滑稽にも悲しみのやり場も見つからぬまま夜空の花火達を眺める。

花火達は僕の心を洗ってくれる事は無かったが、僕は少し救われたような気がした。


 花火達は夏の最後を惜しむように夏の夜空に儚く散った。