『・・・そう・・・じゃぁトモユキがどうしたいのか決まったら言って・・・』
『・・・そんな都合の良い事は出来ないよ』
『私もどうすれば良いのか分からないの・・・だからこうする事しか出来ない』
そう言って明子は湯船の中で僕に覆い被さるように抱きついてきた。
『・・・とてもそんな気分にはなれないよ』
『・・・じゃぁ黙って抱いていて』
明子は声を震わせながら僕の首に絡みついた。
僕は明子が言うとおりに明子を強く抱きしめた。
明子は僕の手の中で小刻みに震えていた。
僕達はのぼせてしまいそうな程、じっと抱き合っていた。
そしてどちらとも知れず湯を上がり、他人行儀に浴衣を着て、部屋に戻り別々の布団に寝た。



