『・・・トモユキ』


『ん?』


『私・・・どうすればいいの?』


僕は明子の言葉に酷く動揺して言葉を出す事が出来なかった。

彼女はいつもの明るい雰囲気を完全に表情から消し去り、月を仰ぎ見る様に僕の心に問い掛けてきていた。


『私はどうすればいいのかな?』


『・・・わからない』


『・・・トモユキはどうしたいの?』


『わからない・・・』


僕には本当に分からなかった。

ただ分かっていたのは僕は驚きながらも何処かで明子のこの言葉を待っていたのかもしれない。

何故か僕は明子の言葉に心の深い部分で解放された様な安堵感を覚えた。

しかし明子の言葉に応える言葉は一向に見つからなかった。

明子の見た事も無い表情は僕の思考を凍結させた。