7階の展望露天風呂へ向かう為、僕達は4階からエレベーターに乗った。


『・・・残念だね。』


『・・・混浴?』


『そう混浴』


『うん・・・トモユキと入りたかったな。』


そう言って明子は僕の肩に頭を乗せてもたれ掛かった。

僕は『そうだね。』と言って明子の頭を優しくポンポンと叩いた。


『チン』と音を立て7階のエレベーターが開くとフロアは真っ暗だった。


『・・・停電?』


『停電だったらエレベーターも動かないさ・・・何だろ?』


7階にはこの旅館の売りである展望露天風呂がある筈だが、真っ暗で非常階段を示す表示看板の緑色の光だけがフロアを照らしていた。

程無くして目が慣れてくると露天風呂の入り口に立て看板を見つけた。

おそらく仲居さんは僕達に言い忘れたのだろう。

立て看板には『調整中』と書かれていた。