旅館に帰って来た時には辺りは薄暗くなっていた。

部屋に戻ると仲居さんが、すかさず部屋を訪れ夕飯の支度が整っている事を僕達に告げ、僕はすぐに運んでもらえる様に頼んだ。

浴衣に着替える間も無く僕達の前にお膳が並んだ。

目の前でグツグツと音を立てているアンコウ鍋を見て明子が満面の笑みを浮かべていた。

だが明子は手をつける前に僕のグラスにビールを注いで『お疲れ様』と言った。


『ありがとう・・・食べよう。』


『・・・うん。』


明子は笑顔で言った。



『混浴は無いんですよぉ・・・』


夕食を下げに来た仲居さんに明子が質問すると、仲居さんから明子にとってガッカリな答えが返ってきた。

僕達は仲居さんが部屋を出ると入浴する準備をはじめた。