『きっと・・・トモユキの方が姉さんは嬉しいの・・・』


僕達の会話を聞いていた母がテーブルを布巾で拭きながら僕に諭す様に言った。

父はただ黙って頷くだけだったが母の言った事に満足気に微笑みを浮かべた。


『トモユキは覚えていないでしょうけど・・・姉さんはアナタの事が大好きだったの・・・』


『・・・姉さんが?』


『あなたも姉さんの事が大好きだったみたいで・・・姉さんの姿が見えなくなると、すぐ泣きじゃくったんだから・・・』


『・・・俺が?』


そして母は少し表情を落としながら、姉さんが海で居なくなった時もずうっと僕が海に向かって泣いていたと言った。

父は相変わらず空を仰いだまま黙って頷いていた。