私達はいつも一緒だ。
私達の中には2つ上先輩の人がいる。
そんな先輩は社会人となり
私達は高校生三年生となっていた。

私の名前は山川安曇(ヤマカワアズミ)
恋愛自体にはハッキリ言えば興味はない。
異性に対しても意識なんてことはしたことはなく
髪は癖っ毛ではねやすいけど気にしたことなんかない。

そんな私に親友がいる。
彼女の名前は阿久津佐知(アクツサチ)
私と違い髪の毛がサラサラで長く美人である。
よく昔から可愛いと色々な男子に言われ絡まれ
私が助けるというのが当たり前の日常だ。

そしてもう一人、佐知の親友
彼女の名前は加藤瑞穂(カトウミズホ)
瑞穂は佐知より肌が白く睫毛も長い。
髪はふわふわしていていつも左肩にまとめシュシュなどで結っている。

更に2つ上の先輩、今は社会人二年目
名前は宮崎真理(ミヤザキマリ)
髪はショートでとても短い、だが清潔感があり
サバサバしていて愛想も良い
どうやら就職先の会社の上司と近々結婚するらしい


そんな4人で基本休日は一緒だ。
まぁ宮崎先輩は社会人だから時々来れなかったりするから
基本一緒なのは高校生三年生の三人だ。

この関係の中で少しずつ変わっていった理由は
【宮崎先輩の結婚】だった。


「宮崎先輩、そういえば結婚式そろそろでしたっけェ?」

私がダルそうにコーラを飲みながら聞くと私のことを見ながら微笑み

「うん、そうだよ。」

と、幸せそうな声で答えた。
その声を聞き瑞穂は「いいなぁ」と言葉を漏らしていた。
私からしたら結婚はただ異性と同じ空間で
同じ時間に食事をとり、同じ時間に寝る…
ただそんだけのことだ、と思っていただけだった。
だからだろうか、羨ましいなんて思わなかった。
ダルそうな私を見て宮崎先輩は口を開いた。

「安曇は"恋"しないの?」

「はは、しませんよォ、よく分かんないですしィ…」

「ふふ、安曇は恋とか興味なさそうだもんね」

笑いながら佐知は私に言った。

「さすが佐知、よく分かってるー」

宮崎先輩は私と佐知を見たまま優しい声で言った。

「まだ安曇は運命の相手に出会ったことがないからそう思うだけだよ?将来、安曇に運命の相手が現れた時、安曇の人生は360度変わる。それが"恋"」

私には分からなかった。
そもそも興味が湧かなかった。


⇨⇨⇨

次の日、私は普通に学校に向かう。

「うぃ~さみィ…!」

夏の終わりかけの今日、最近は冬に近づき
寒い朝が当たり前のようにやってくる。最悪だ…

学校の下駄箱の前に着き下駄箱を何気なく開けると
虫の玩具が私の上履きに乗っていた。

「ぎゅわぁああ!!」

自分でも聞いたことないような声が下駄箱に鳴り響く。玩具とはいえ急に見たらさすがにビビるって!!
私が驚き息を整えているとパタパタと身軽そうに足を鳴らしながら近付く男がいた。

「おはヨ、朝から良い悲鳴だったよ、ははは」

と笑いながら上履きに履き替える。
犯人はテメーか…


笑うコイツは私の幼なじみの男子
名前は松本永遠(マツモトトワ)
昔から悪戯ばっかしてくる奴で色々な女子曰わく
【好きな女子程弄りたい系男子】…らしい。
必然的に私が好きという解釈になるのは勘弁してくれ


「虫の玩具…ビックリした?」

「ざけんな、ビビりすぎて自分でも聞いたことないような声が出たわ」

「はは、ウケる」

永遠はケラケラ笑っている。身体が細く高身長で肌は白く男子特有の大きな肩幅は笑いと共に揺れている。
昔より少し声変わりしでも男子にしては透き通った聞きやすい声の彼は廊下を歩く私にもやんわり静かに聞こえていた。

「あ、安曇、僕教室ここだから。またね」

「あぁ、うん、またね」

手をひらひら教室の前で振る彼に私もひらひら振った。
私の学校は1組~6組まである。
彼は6組、私は1組。つまり私の教室まではまだしばらく距離がある。廊下を歩いているとキラキラしたオーラを放ちながら近寄ってくる男子がいた。

「やっほー、あずみん!おっはー☆」

「はよ、朝からキラキラしてウザイんですケド」

「ごめんごめん☆」

キラキラしている彼は3組の星野圭(ホシノケイ)
私とは小学校の時同じクラスで当時一番仲良かった奴
でも中学にあがるとき星野は引っ越していった。
だから二度と会わないと思っていたらまさか高校生になって帰って来てしかも同じ学校に入学なんて予想もしていなかった

「今日来るの遅いね、どうしたの?」

「幼なじみに悪戯されてさ…参ったよ」

「なるほど!大変だったねお疲れ!」

星野の言葉の後に校内にチャイムが鳴り響く。

「もう時間だ、さ、朝のSTだよ!またね!」

星野は手を少し振り走っていった。
今日も面倒な1日が始まる。でもそれはいつもより面倒になっていった