L'a maro e dolce amaro ~甘くて苦い恋の味 ~

心臓が飛び跳ねる。

今一番聞きたくない言葉。

耳を塞ぎたくなる…。

本当に旦那さんからの電話でしょ?

勘違いとか言われても、あんなに顔を赤らめてるの見ると信憑性がないよ。

「あれ。本当に旦那さんじゃないからね。それに私結婚してないよ?」

冗談の様にしか聞こえない。

「では、何で佐々木先生が言ったときに顔まで赤くされていたのですか?」

どす黒い感情が私を飲み込んでいく。

こんなに冷たく言うつもりは無いのに。

「あゆむさんもよく知ってるでしょ?千夏ちゃ…佐々木先生がよく人を茶化す事。」

はい。すこぶる存じ上げております。

本当に佐々木先生は人を茶化す事が生き甲斐なのではないかと言うくらい茶化す。

「赤らめていた様に見えたのは、書類に不備があってそれを指摘されたばかりだったからよ?」

あー…。先生ならやりかねないミスだわ。

「恥ずかしかったの。それで佐々木先生にああ言われた時は対応に困っただけ。」

「本当ですか…?」

「本当。嘘言ってどうするの?笑」

そう言う貴女は偽る事を知らないのかという程本気な目をしてる。

ここは信じてみようか…。

「…分かりました。先生の言う事信じてみます。」

「信じてみますって笑。事実しか話してないわよ?」

にこやかに微笑む貴女を見ていると、さっきまで酷かった頭痛も無くなった気がした。