この時はまだ、あんな夢みたいな運命が待っていたなんて、私はまだ知らなかった。



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神谷凛音、高校1年生。

ついに憧れの聖蘭高校に合格したんです!

『やっぱり聖蘭の制服は可愛いなー♡』

「ったく、お前が聖蘭聖蘭言うから俺まで行かなくちゃならねーじゃん…」

このぶっきらぼうなのは篠崎海斗(しのざきかいと)。

私の幼なじみの1人。

「なーにいってんのー。凛音は私だけで大丈夫って言ってたじゃん、なになに照れてんだー!」

この活発で元気な女の子は藤田小夏(ふじたこなつ)。

この子も私の幼なじみ。

「う、うっせぇよ!!俺はこいつがバカだから金持ち高校でやってけるか心配で仕方なく来てやっただけだっつーの」

「またまたー」

小さい頃からいつもこの3人で過ごしてきた。

だけどー…

『この3人でずっといると何故か彼氏ができましぇん……』

私がだらしない声を上げると

「あー分かるよーまだ初恋も経験してないしねー…」

「なに言ってんだよ。お前らには俺がいるじゃん。」

なんて自意識過剰な…!!笑

『あー海斗が彼氏になることはまずないかなー』

「だーよーねー!」

「小夏みたいな男とはぜってぇー付き合わねー!!!」

「はぁー!?
うち男じゃないんですけどー!」

もう2人とも…

あ。職員室に行かなきゃいけないんだった。

『ちょっと職員室行って来るー』

私が階段を降りようとすると…

ズルッ

『きゃぁっ!?』

やばい。落ちる。

とんっ

「おっと、びくったー…大丈夫?」

え?

あ…隣のクラスで有名な人

うわぁ人気なだけあって、顔も整ってるし綺麗な人だなぁ…

「え、えっとー…もしもーし?」

『あっえっとご、ごめんなさい!!』

か、顔近い

「気をつけてね。」

ドキッ

『は、はい。ありがとうございます。』

「君2組の子だよね?」

私のこと知ってるのかな…?

『はい。2組の神谷凛音って言います。』

「あー!神谷神社の?」

『そうです。知ってるんですね。』

「俺受験前お守り買ってお祈りしたからー。君のおかげでここ受かったよ♪」

うちの神社来てくれたんだー…
そうやって神社に来てくれると嬉しいな…。

『そんなことないです。頑張ってたくさん勉強したから受かったんですよ。』

そういえば、この人なんて名前なんだろう?

「連絡先交換しない?そうだ、遅れたけど俺の名前は高須優(たかすゆう)。
あと、タメでいいよ」

へぇー。優って言うんだ…。確かに優しそうだな。

『はい!あっ、うん。よろしくね、優くん。』

「おう!よろしくな、凛音。」

ドキッ

いきなり呼び捨てなんだ

ちょっと照れるな…



さっきから鳴り止まない鼓動はなんだろう?
胸がドキドキする。


この気持ちにきづくのはあとちょっと先のお話ー…