俺が教室に戻ると、いきなりある男が飛びついてきた。


「蒼ちゃぁん!また告られたの?どんな子?どんな子?」


「普通だよ。あとさ千夏、また髪染めた?」


千夏は高校に入ってからの親友で、とてもチャラい。

女好きだけど、根は優しい奴で男女共に人気がある。


「そう!栗色にしたんだけどカッコイイでしょ?」


「いいんじゃない?でも明日服装チェックあるよ。一瞬で黒髪戻りだね。」


「まじ!?もーせっかく美容院で染めたのに~...」


そんな会話が続き、ふと時計を見ると時間は8時ジャストを指していて、授業が始まるにはまだ余裕があった。


「黒瀬ー、隣のクラスの子が呼んでるよー。」


クラスの女子がそう言ってきて、扉の方へ歩く。


「何?」


「ちょっと...こっち来てください。」


またか、と心の中で呟きその子の後ろを歩く。

どこまで歩くつもりなんだよ...