無口な君と。

「『国破れて山河あり。城春にして草青みたり』」


お兄さんはノートに書いてあった文を読んだ。


松尾芭蕉の奥の細道のある部分。



「どうだった?」

にって笑ってお兄さんは私を見た。


どうだったって……


「きれいな、声だなって思いました。」


恥ずかしいのに思わずお兄さんを見て言ってしまった。