「ほら、ボーッとしないで由梨絵、行くよ」 瑞希に腕を引かれて、遼がいるという 集中治療室へ向かった。 治療室の前には涙目の遼のお父さんとお母さん。 あたしのお母さんとは知り合いで、何回か話した事がある。 「遼は…大丈夫です……よね?」 「由梨絵ちゃん……遼、外傷は酷くはないんだけど…頭を強く打ったみたいで……」 ……大丈夫だよ。 遼なら、生きる。 死なないでとは、願わない。 ただ生きて、と願う。