「私は置いてなど行かな……」
そこで言葉は消えた。
掠れるような、か細い声が聞こえたからだ。
「…………いや、だ……ひとりに、しないでくれ……」
願うように、恐るように、何処か諦めを帯びた泣きそうな声がした。
孤独に怯える幼子のようにも聞こえるその声は風が吹けば攫っていきそうに脆く、弱かった。
今にも泣き叫びそうな静寂。
数秒の後、ヴォルフラムはふらふらと歩き始めた。
いつまでもそうしている訳にはいかないのだと解っている様子だった。
そして、エリミアの所へ行く。
「だいじょーぶ?」
シエリアは心配そうにヴォルフラムを見る。
「大丈夫だ。無事、回収した。具合が悪そうだが、いざとなれば私の血さえあれば元気になる。問題ない!」
クラウジアは態とそう言って見せる。
(家に置いておけば、どうなるか解らない。)
そう思って、家に帰すことを諦めている様子だ。
そして、数日間のことを思い返す。
普段の買い出しはヴォルフラムの仕事だったが、彼が言葉を話せなくなって以来、クラウジアがしていた。
『行ってくる。』
クラウジアはヴォルフラムに家から出ないように窘めてから、外へ出た。
ヴォルフラムは不満そうに唸ったが、言いつけを破る様子はない。
そして、帰宅した。
『ただいま。』
誰も出迎える様子がない。
自室にでもいるのかと思った時、派手に物を壊す音がした。
ヴォルフラムの部屋の方からだ。
見てみれば、窓は割れ、ベッドは壊れ、家具も破損していた。
その状況を作ったであろう当人は、糸が切れた操り人形のように地面に転がっている。
爪と牙が鋭く、いつ暴れても不思議ではなかった。
目はぼんやりと虚空を見ている。
『フラン。』
呼びかけると、むくりと起き上がり、此方を見る。
身体は血塗れで、良く見れば破損した家具や硝子にも血が付いている。
その血は当然、ヴォルフラムの物だろう。
痛みを訴える様子もなく、寧ろ怪我に気付いているのかさえ怪しかった。
『不安だったのか?』
クラウジアはそっと抱き締めた。
ヴォルフラムは何も答えることもなく、一気に力が抜けたように眠ってしまった。
それから、2日は目覚めなかった。
そういうことが何度も起こった為、それからは買い出しも共に行くことにした。
だから、こんな状態でもヴォルフラムを1人で帰すわけにはいかなかった。
(世話の焼ける。)
そこで言葉は消えた。
掠れるような、か細い声が聞こえたからだ。
「…………いや、だ……ひとりに、しないでくれ……」
願うように、恐るように、何処か諦めを帯びた泣きそうな声がした。
孤独に怯える幼子のようにも聞こえるその声は風が吹けば攫っていきそうに脆く、弱かった。
今にも泣き叫びそうな静寂。
数秒の後、ヴォルフラムはふらふらと歩き始めた。
いつまでもそうしている訳にはいかないのだと解っている様子だった。
そして、エリミアの所へ行く。
「だいじょーぶ?」
シエリアは心配そうにヴォルフラムを見る。
「大丈夫だ。無事、回収した。具合が悪そうだが、いざとなれば私の血さえあれば元気になる。問題ない!」
クラウジアは態とそう言って見せる。
(家に置いておけば、どうなるか解らない。)
そう思って、家に帰すことを諦めている様子だ。
そして、数日間のことを思い返す。
普段の買い出しはヴォルフラムの仕事だったが、彼が言葉を話せなくなって以来、クラウジアがしていた。
『行ってくる。』
クラウジアはヴォルフラムに家から出ないように窘めてから、外へ出た。
ヴォルフラムは不満そうに唸ったが、言いつけを破る様子はない。
そして、帰宅した。
『ただいま。』
誰も出迎える様子がない。
自室にでもいるのかと思った時、派手に物を壊す音がした。
ヴォルフラムの部屋の方からだ。
見てみれば、窓は割れ、ベッドは壊れ、家具も破損していた。
その状況を作ったであろう当人は、糸が切れた操り人形のように地面に転がっている。
爪と牙が鋭く、いつ暴れても不思議ではなかった。
目はぼんやりと虚空を見ている。
『フラン。』
呼びかけると、むくりと起き上がり、此方を見る。
身体は血塗れで、良く見れば破損した家具や硝子にも血が付いている。
その血は当然、ヴォルフラムの物だろう。
痛みを訴える様子もなく、寧ろ怪我に気付いているのかさえ怪しかった。
『不安だったのか?』
クラウジアはそっと抱き締めた。
ヴォルフラムは何も答えることもなく、一気に力が抜けたように眠ってしまった。
それから、2日は目覚めなかった。
そういうことが何度も起こった為、それからは買い出しも共に行くことにした。
だから、こんな状態でもヴォルフラムを1人で帰すわけにはいかなかった。
(世話の焼ける。)


