「ほらほら、食べよ。そっちから食べなよ」
「…うん」
神社の鳥居の前の、人気のないところに二人で座った。
距離、ちかいな…
私、変じゃないかな…?
顔になんかついてないかな?髪、はねてないかな…
心臓がうるさい。
「並木、食べないの?」
「たべ、る…っ」
差し出されたわたがしは、もうすでに3分の2くらいの大きさになっていた。
はむっ
ぎゅ、って目をつむって、恥ずかしさをこらえて。
わたがしにかぶりついた。
あまくて、ふわふわで、すぐにとけちゃう。
懐かしい、味。
「…ふ、ふふ、はははっ」
いきなり、相川くんが笑い出した。
「え?え?なに?」
「…お前、顔中わたがしだらけ。ふ、ははは」
ええええー!?
ちょっと大胆にかぶりつきすぎたかも…
「うそぉ…ちょっと、洗ってくるね。」

