あのあと、たまたま通りかかった知らない先生に手伝ってもらって、結衣を家まで送った。
結衣の家。お祭りの日にも、送っていったっけ
先生が結衣をお姫様だっこして。
俺は、結衣の自転車をからころ押して行った
この抜け道、俺が知っててよかったなって、先生に笑われた。
そして。
学校に戻ると、もう文化祭が始まっていた
「ハル!お前、なにしてたんだよ!」
「奏。ありがとな」
思ったとおり、奏がちゃんとやってくれていた。
メイド服をきた女子たちが、楽しそうに宣伝をしている。
「…ああ。質問に答えろよ!
…結衣は?」
「家に帰った」
「は?」
「…熱、だした。」
奏のびっくりした顔を見ながら、熱で火照って苦しそうな結衣の顔を思い出す。
『ずっとしゅきだったんだぁ…』
『好き…』
『俺も…』
なんで俺、あんなこと言ったんだ…
「…い、おい。結衣は大丈夫なんだろーな」
「へーきだよ」
「よかった。じゃー、俺らシフトないし、回る?」
『ふつつかモノですが…!!』
「…わりぃ、先約がいる。」
結衣は待っててもこないのに
俺、何考えてんだ…?
「そーか。シフトには戻ってこいよ」
「ああ」