「壊れてるとこは…ないよな」


「うん!」


細かいところのすみずみまで2人で点検していく。


それから調査報告書の、問題なし、の欄に丸をつけた。


「よし。んじゃあこれだしてくるから、下駄箱で待ってて」


「え、いいの?…ありがとう」


ありがとう、と言った時にはハルくんはもう走り始めていた。


私は、ハルくんの荷物と自分のをもって、ゆっくり歩いて下駄箱に向かった


「おまたせ」


「あ、ハルくん!ありがとう」


荷物をハルくんに差し出すと、笑顔で受け取ってくれた。


ちょっとだけ、手と手がぶつかる。


そんなちょっとのことに、またドキドキして。


青春っていいなぁ、とか、おばさん臭いことを考えてしまった。


「結衣?」


「わ、わわ、アイハルくんっ!じゃ、なくて、ハルくん…ごめんっぼーっとしてて」


お互いの呼び方に、未だに慣れてないんです、私。


ハルくんはもう普通に呼んでくれるのに…


ごめんね、ハルくん。ハルくんハルくん。


「っはは!!アイハルくん!!」


ハルくんは、私の過ちに笑ってくれた


か、かなり恥ずかしいけど…


「ごめんごめん…ちゃんとするから…」


思わず、顔を手でおおって隠す私。


恥、です…


「…ハルくん。もう、絶対まちがえないから!」