「だって、お前がハルって呼んでんだから。いーじゃん。」
「…う、う、うん…あ!ごめんなさい、うっかり…」
慌ててしゃがんで、書類をかき集める。
その姿はまるで、うさぎかモルモットのようで。
俺はつい、笑ってしまった。
「わ、笑わないでよっ!」
「ああ、わりぃ。手伝う手伝う。」
並木の近くにしゃがんで、書類を集めるのを手伝う。
「…ごめんね、迷惑かけて…」
「いーよ。こんぐらい。ねーちゃんで慣れてる。」
「お姉さんがいるの?」
「そそっかしくて、おっちょこちょいで、サザエさんみたいな姉がひとりいる。」
すぐお皿わるし。何回すれば気が済むんだ、ってくらい忘れ物をする。
俺の姉は1歳年上の、高3。
受験のシーズンだから、よく息抜きとかで俺まで散歩に引きずり出されたりして、めーわくな姉だ。
「ふふっ。ハルくんのおうち、楽しそう!」
「そうでもねーよ」
3歳年下の双子の妹と弟もいて、とにかくにぎやかでうるさい。

